高次脳機能障害とは、交通事故・転倒・転落等による脳外傷や
脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)・脳炎・低酸素脳症などが原因で、
脳が部分的に損傷を受けるために起こる障がいです。
高次脳機能障害であらわれる症状には、注意障害、記憶障害、遂行機能障害、社会的行動障害(行動と感情の障害)、
病識の欠如、失語症、失認症、失行症、地誌的失認、半側空間無視等があります。
また、てんかん発作を伴う場合もあります。
・脳が疲れやすく、根を詰めた作業や長時間作業をすることが難しくなる
・ミスが多くなる
・気が散りやすいなど、ひとつのことに集中することが難しくなる
・物の置き場所を忘れたり、見たことや聞いたことを覚えられなくなる
・同じことを何度も繰り返し質問するようになる
・約束を守れない、すぐ忘れてしまう
・これからしようとする行動への段取りが苦手になる
・物事の優先順位を決めるのが苦手になる
・行き当たりばったりの行動をする
・感情のコントロールが苦手になり、怒りっぽくなる
・周囲に合わせた言動ができなくなったり、些細なことにこだわるようになる
・気持ちが落ち込んで、ひきこもってしまう
・自分が障害を持っていることに対する認識がうまくできない
・障害がないかのように振る舞ったり、話したりする
・聞く・話す・読む・書くことに関することに支障が出る
・言葉が浮かばなくなったり、相手のいうことが理解できなくなる
・色や物の形、物の使い方や名称がわからなくなる
・音や言葉は聞こえていても何の音か何を話しているのかわからなくなる
・ハサミなどの道具がうまく使えなくなったり、使い方がわからなくなる
・服の上下や左右、裏表を間違えて着るようになる
・馴染みのある近所の地図が描けなくなる
・地図を見ても行き着くことができなくなったり、行った場所を覚えられなくなる
・見えているにも関わらず、左右どちらかの空間を認識することが難しくなる
・片側の物に気づかなくなったり、ぶつかったりするようになる
これらの症状により、日常生活または社会生活に制約がある状態が高次脳機能障害です。
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※症状は重複していることが多く、その症状の重なり方で一人ひとりの状態は異なります。
※これらの症状は、事故または病気の直後ではなく、退院して何年かした後に現れることもあります。
高次脳機能障害は、全ての症状が必ずあらわれるという訳ではありません。
損傷を負った脳の部位や発症からの経過時間、環境や周囲の関わり方等により、
症状や程度は一人ひとり異なります。
周囲の人の適切な関わり方や本人に合った環境整備をすることによって、
症状がみられなくなったり、症状があっても日常生活や社会活動が行えるようにもなります。
高次脳機能障害者は理解者や支援者がいないことで、社会から孤立してしまうことがあります。
また障がいのために意思疎通がうまくいかず誤解を生んだり、
感情的な言動をとることにより、居場所を失ったり、
場合によっては、人間としての権利や尊厳を奪われることも懸念されます。
高次脳機能障害には周囲の理解が不可欠です。
しかし、今なお全国的にも「『高次脳機能障害』という言葉を聞いたことがない」、
「『高次脳機能障害』がどんな障がいなのかを知らない」という方が、まだまだ多いというのが現状です。
大分県には
■ 諏訪の杜病院(大分市)
■ 別府リハビリテーションセンター(別府市)
この2か所の高次脳機能障害支援拠点機関が設置され、支援コーディネーターが配置されています。
高次脳機能障害支援拠点機関は、高次脳機能障害者に対する専門的な相談支援や関係機関との地域支援ネットワークの充実を図るとともに、高次脳機能障害に関する研究等を行い、適切な支援が提供されるように体制を整備しています。
また、各自治体の職員や福祉事業者等を対象に研修を実施し、地域での高次脳機能障害者支援の啓発と普及を図っています。
支援拠点機関をはじめ多くの皆さまのお陰で、県内の高次脳機能障害者に対する相談支援は、当家族会にとっても身近で心強い存在となっています。